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ファクトリーショップ リニューアル インタビュー

10月3日(土)いよいよ待ちに待ったトリプル・オゥのファクトリーショップがリニューアルオープンいたします!ファクトリーショップの建築をお願いしたのは、桐生を拠点に活躍する、飯山千里建設設計事務所の飯山さん、藤本さんご夫妻。

今回はプライベートでも親交のある、トリプル・オゥデザイナーの片倉と、飯山さんご夫妻3人の対談をお送りします。

建築家を目指したきっかけ、片倉とのsmallの活動、ファクトリーショップ建設に込めた想いなどのお話を聴きました。(文:野村)

対談メンバー左から

トリプル・オゥデザイナー

片倉 洋一

飯山千里建設設計事務所

飯山 千里さん

藤本 常雄さん

環境を変える建築を目指して

Q.飯山さんが建築家を目指そうと思ったきっかけはなんですか?

飯山

中学生の時にパリに旅行し、環境が変わることで空気感や雰囲気が変えられるという体験をしたのが最初ですかね。日本との違いに衝撃を受けました。

片倉

ご両親の影響もあったりするんですか?(飯山さんのご両親は建築家)

飯山

両親からはやめたほうがいいって言われてました。(笑)

影響というと小さいころから現場に連れて行ってもらったりして。職人さんてすごいなってことは感じていましたね。

藤本

モノづくりの現場に行ってると影響されたりするかもね。

飯山

大工さんってすごいなって思ったんですけど大工さんは私にはできない。

でも、環境で気持ちとか空気感が変わるのがすごいことだと思って…。

それはお店の雰囲気や歩いている人だったり、走ってる車とかいろんなもので組み合わされて出来ていると思うんですけど、そういう中の一部に何かしら関われたら面白いなって。

片倉

お二人は大学のゼミが一緒だったんですよね。

飯山

はい、谷口吉生さんと一緒に設計を行っている高宮眞介さんが研究室の先生だったんです。

意匠の設計をやりたい人が多く、藤本も私も一緒でした。

藤本

その研究室は社会の中にどういう問題があるかとか、背景を汲み取ってプログラムまでつくって設計する。そういうスタンスだったんです。

飯山 

良いクエスチョンを見つけることが出来ないと良い答えっていうのはまず出せないと。

藤本

設計の視点から社会の問題を見つけるっていう研究室でしたね。

飯山

デザインは見た目としての影響として入っているので、それがもうちょっと深いところの全然建築とは関係ない問題と結びついているっていうのに責任は感じますね。

つくるということは破壊的な行為でもあるので。

例えば学校をつくるとして教育とは何か?なぜ人は学ぶのか?というところまで考えるんです。

片倉

なるほど、その社会の問題みたいなことって解決するものなんですか?

飯山

毎回答えが出るわけではないんですけど、出なかったらどういう建築をつくらなければいけないのか。そこまで話し合うゼミだったので、考えることを鍛えられましたね。

大きなものをつくるにはお金もかかるし、みんなの共感を得られなきゃいけないので。

藤本

今は小規模の建物とかプロジェクトの中で、いかに建築家として役に立てるかという風潮になってる。

小さくても良いものをつくって、建てたあとも使ってもらうためにどうすればいいかを考えたりしますね。

飯山

ワークショップでつくる前から一緒に考えようとか、そういうのが出始めた時代で、それは今住宅を設計するときにも役立ってます。

片倉

今回のファクトリーショップ施工前にも、2人にお越しいただいて笠盛のスタッフと内装や什器など軽いワークショップを行いましたよね。

Q.仕事をする上で大切にしていることは何ですか?

飯山

敷地百遍という言葉をゼミの先生がよく言っていて、敷地に100回通えばいい建物が出来るよということなのですが…。

現場に通うことで周辺の環境や人、歴史とかを読み取ったり、そこを使う人の話を聴くことが大事。

設計したら終了ではなく、職人さんと一緒に関わってつくっていくスタンスでいます。

それと、施主さんの話を聞いて、言葉には出来ない要望ってあると思っているんです。そこまでくみ取れるといいなと考えながら打合せをしてますね。

今回のファクトリーショップ施工中も何度もやりとりを重ねた

街と人をデザインでつなげる「small」というユニット

Q.3人が出会ったきっかけは?

片倉

出会いは桐生クッションというプロジェクトがきっかけでした。桐生という街を知ってもらったり、活性化が出来るようなプログラムの一つとして、「地域にデザインを根付かせる。」「暮らしを考えるときに必ず建物という箱がいる。」そんなアプローチから、建築をしているお二人と、ものをつくってる僕とで何か出来ないかとお声がかかったんです。

現在は建物を通してその街の人々をどう繋げるかを考え、small(スモール)として活動しています。

藤本

最初はファッションウィーク(※)があったのでそれに合わせて何かやろうとなったんですよね。レンガ蔵の会場構成や商店街の店舗のシャッターを開けて、桐生のものづくりを紹介したり。

(※桐生市内で年に一度行われる繊維にまつわるイベント)

飯山

その後はデザインにまつわるトークショーや、美術館でのワークショップなど細々と活動しています。

Q. smallという名前にはどんな意味が込められているんですか?

藤本

 smallが最初の活動のイベント名だったんです。

片倉

“小さいこと” 

規模ではなくみんなの目の行き届かないところにも価値のあることは沢山あって、そこにフォーカスし、デザインを通して人をつなげるみたいな。

藤本

桐生の街自体小さく分業しながらやっている街で、小さい魅力が沢山あるんですよね。

片倉

確かに繊維とかの他の産地に比べるとすごく小規模で点が沢山あるんだけど、フォーカスしていかないと見落としてしまう。smallでそんな魅力を伝えていきたいですね。

藤本

 smallは良いネーミングでしたよね。小さいから出来ることをすくいとると良い社会になる。ただ自分達の本業ではたどり着けない、街との関わりを持つ為には smallという中立な立場が必要だったんだと思います。

smallとして携わった宿坊

デザインした座布団を乗せるイスは、視線の低いことが心地よいと感じる日本の住宅に合わせて脚の低い設計になってる。昔からあるものを新しい生活になじむようにと考えられた。

インダストリアル(=工業的)とやさしさの共存したファクトリーショップ

Q.今回のファクトリーショップを建設する上で大切にしたポイントは何でしょうか?

飯山

創業140周年の「笠盛の仕事展」にsmallとして会場設計に関わって撮影をした時、私達も一緒に工場の中に入らせて頂いたんです。

その時大きな機械が動いているんだけど、そこには人の手の細やかな操作があって

機械と人の手が一緒になってつくっている印象が強かったんです。

なので、機械の工業的な部分と、出来上がった繊細で柔らかなモノの両立が出来ないかと考えました。

もう一つは“伝統”。門の雰囲気や年月を感じられるような、“伝統”と“人の手”と“工業的なもの”っていうのをうまく取り入れたいですね。

藤本

真っ白いホワイトキューブでなく、ナチュラルでオーガニックな空間でもない。来る人が現場感をリアルに感じられながら、工業的なものをやさしく収めていく事をコンセプトにしています。

飯山

セメント板とかメカっぽい工業的な素材を使ってはいるものの、やさしさが同居できればいいなと思ってます。ふんわりとしてインダストリアル(工業的)なデザインみたいな

片倉 

そのインダストリアルとやさしさの共存というコンセプトになったとき、この素材を使いたいみたいなのはありましたか?

飯山

いろいろな選択肢があったけど、ベタより素材そのものが伝わるようなものがいいと思いました。

それから繊細なアクセサリーに合わせて、不思議に浮いている感じを出したくて、どうしたら什器も何もなく見せられるのかっていうのを考えたんです。

ふわっと軽い感じをどうやって伝えようか??

藤本

今回使用した壁のボードは規格があって、必ず目地(すきま)が出来るんです。

そのスリットに差し込みプレートが入れば、目地も丁寧に扱われているような感じになるんじゃないかと

片倉

端の始末というか、見え方を機能としてきれいに収める、新しい処理の仕方ですよね。

藤本

塗りつぶして隠すのではなく、デザインで新しい展示方法になってる。什器の差し込み位置が変えられて、いろんな展示が出来るというのを目指しました。

飯山

全部グリッドになっているのではなく、人の手で変えられるというのを残したいと思って…。

片倉

そこは笠盛と少し繋がってますね、先ほどの人の手と機械の重なりみたいな。

鏡や棚など自由に動かすことが出来る

飯山

全部システムにするっていうのは今回だけでなく、なるべく避けたくて、人間の判断という余地があることが大事なんじゃないかな。

片倉

あと、お店の窓からノコギリ屋根がきれいに見えるんですよね。桐生以外の人が来たときに桐生の歴史的な文脈も感じてもらえるのではと思ってます。

エントランスは和というのかクラシックな雰囲気で、お店に入るとガラッとイメージが変わりますよね。

飯山

笠盛のメインのロゴと000のイメージってまた少し変わって…

調和するように、あまり伝統に寄りすぎないことを意識しました。ちょっと工業的な雰囲気なんだけど温かみがあるっていう意味ではショップと同じコンセプトになっているんです。

片倉

ファクトリーショップをお買い物だけして帰るというより、ものづくりの楽しみを知ってもらう体験の場にしていきたいなと思っているんです。

今後は来場者とつくり手の関係性がちょっと変わってくるんじゃないかと

そういうことが建築の力で変えられる気がしていて、リニューアルきっかけで新しいお客様と出会えたり、新しいものづくりを発信する一つの拠点になれたらいいなと思ってます。

ライフスタイルの変化と桐生

Qお二人の今後の活動は?

片倉

建物の先にある地方での暮らしを結構テーマにされていますよね。

飯山

そうですね。自分たちが東京ではなく桐生にいる理由としては、暮らしやすい環境や東京に行きやすいなどいろいろあるんですけど…。

桐生はジャンルは違えど、ものづくりをしている人がいっぱいいるんですよ。

私たちも、ものづくりをしていると思って建築をしているので、すごく励まされるんですよね。そういう意味でもいい環境だなって思っています。

藤本

片倉さんの切り口とか自分たちにはないから、そういう所が刺激になるよね。

飯山

経済は大事だけど、経済よりロマンが勝っている地域って、多分日本にはあまり残ってなくて…そういう意味では美しい街だなって。

藤本

会社も大手の会社やチェーン店はあまり無くて、みんな個人事業主だったり

そういうスモールな部分が魅力ではありますね。

飯山

コロナ禍で非東京のライフスタイルが見直されていると感じているんです。その一例として桐生の暮らしの心地よさを知れば、選択肢も増えるのかなと思っていて、今後はライフスタイルを提案発信出来るような活動もしていきたいですね。

終わりに

飯山さん、藤本さんありがとうございました。

一つの建物をつくるのに、その土地の風土や歴史、問題まで堀り下げ考える。建築というものづくりの奥深さを感じます。

そんな飯山さん、藤本さんと打ち合わせを何度も重ねて出来たファクトリーショップは、まさにトリプル・オゥのイメージにフィットするものとなりました。

お買い物の場でありながらものづくりの楽しみを発信する拠点に…

そんな想いを詰め込み、新たに生まれ変わったショップで、皆様とお会い出来ることを楽しみにしております!

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この記事を書いた人

創業145年の刺繍メーカーが、長年培ってきた刺繍の技術を生かして作る、まったく新しい糸のアクセサリーブランド、000(トリプル・オゥ)。0.1mm単位のプログラミングと、職人の手仕事が合わさった立体刺繍で、使い手へのやさしさにこだわった商品を生み出しております。

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