公式オンラインショップは5500円以上で送料無料

ミュージアム・ピンク 飯野編

毎週金曜日にお送りしている旅にまつわるエピソード。今回は仕上げ担当の飯野による四国のアートを巡る旅です。細かいことは決めない自由気ままな旅で出会ったアート作品の数々と、旅する色で選んだカラーの元となった五感で感じるアート作品のはなしをぜひご覧ください。

仕上げ担当:飯野

今回の企画で私が選んだ色は、旅先の美術館で見たピンクです。

私は、旅先で美術館や博物館に行くことが多く、むしろ旅のきっかけのほとんどがそれと言ってもいいくらいです。普段は家でのんびりとしているのが好きなんですが、行きたい美術館や博物館がある時だけ、少し活動的になります。

アートの島、直島。

この旅は、10年以上前に友人と2人で四国に行った時のこと。

1番の目的は、アートサイト直島に行くことで、それ以外は行きたい場所の候補がいくつかあるだけのざっくりとした感じでした。

ご存知の方もいると思いますが、直島は島のいろいろな所で美術作品を見て楽しめる場所です。

作品を自然光だけで見せる地中美術館もすばらしかったですし、室内で見るものだけでなく、海辺にある大きな作品を、日差しや風を受け波の音を聞きながら見るのが気持ちがよかったです。天気や季節の違いで作品から受ける印象も変わりそうですね。

島の中に点在する作品を、借りた自転車で移動しながら見て回ったのも、とても楽しい思い出になりました。直島のミュージアムショップには今、トリプル・オゥの商品が並んでいます。

直島で宿泊したかったのですがそれは叶わず、フェリーで高知に移動してビジネスホテルに泊まったのですが、朝市や小さなスーパーでご当地ならではのお惣菜や果物を買って食べたのも楽しかったです。

急な空き時間が出来てしまい、たまたまその日だけイベントで開いていた古くからある映画館で映画をみたり…。普段の自分なら選ばなかったかもしれない映画で、それも旅先ならではの出来事な気がします。

香川県のイサムノグチ庭園美術館に行った後、地元の人に教えてもらったうどん屋さんに暑い中歩いて行ったらなかなか着けず、お腹も空いてるので途中からから変なテンションになってしまい、笑いが止まらなくなったこともありました。

あと、駅前で1000円札を1枚拾って目の前の交番に届けたところ、思っていたよりも書類をしっかり書かなければいけなくて時間がかかってしまい、電車の時間に間に合わなくなりそうで拾ったことを後悔したことも今となっては面白かったような・・・。

五感で触れるエルネスト・ネトの作品

そして旅の後半、丸亀市にある猪熊弦一郎現代美術館に行きました。猪熊さんは既に亡くなられていますが、三越の包装紙のデザインをされた方で、以前展示を見て作品を好きになり、美術館もステキな所だと人から聞いていたので、チャンスがあれば行ってみたいと思っていたのです。

その美術館で企画展として展示されていたのが、今回の企画に使わせて頂いた、ブラジル出身のエルネスト・ネトさんの作品です。この美術館は駅の目の前にあって特に下調べもしないで行ったので、エルネスト・ネトさんのことも全然知らず、本当に偶然出会えたものでした。

展示スペースでは最初にクツを脱ぐのですが、天井も壁も床も白っぽい柔らかい布で覆われていて、何か大きな生命体の中に入り込んだ気持ちになります。

伸縮性のある布の中に大量の発泡スチロール製の粒や色鮮やかな香辛料の粉、カラフルなボールなどが詰められ、それらは大きく曲線的で立体的な形を作り、布を通して淡く発光しているようにも見えてとてもきれいです。

見るだけでなく、触ったり寝転んだり香りを感じたり…体感することができる作品。ものの形や色が柔らかく曖昧、布で覆われた空間は音が響かずとても静かで、それが何とも気持ちいいのに心をざわつかせ、この作品展は私の心に強く残りました。

その後ネトさんの記事を読む機会があり、「作品を作る行為は旅のようなものかもしれない」と書かれていました。「ここからあちらまで行きたいと思っているが、行く道程でいろんなことが起こるものだ」と。

確かに、旅の目的も大切ですが、道中で起こる様々で些細な出来事が旅の楽しみでもあり、かけがえのない思い出になるのかもしれません。

一緒に旅行に行った友人とは今も付き合いが続いていますが、あまり昔のことを話す機会がありませんでした。この企画がきっかけでこの時のことが話題になったんですが、本当にどうでもいいことをお互いが覚えていて面白かったです。

またこんな感じで、あまり細かく計画を立てず、気の置けない相手と旅に行けたらいいなと思っています。

ミュージアム・ピンク

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてねくださいね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

創業145年の刺繍メーカーが、長年培ってきた刺繍の技術を生かして作る、まったく新しい糸のアクセサリーブランド、000(トリプル・オゥ)。0.1mm単位のプログラミングと、職人の手仕事が合わさった立体刺繍で、使い手へのやさしさにこだわった商品を生み出しております。

目次